抄録Abstract

美容皮膚科に必要な解剖学

『美容皮膚科に必要な顔面のCT・MRI解剖』
奥田逸子(国際医療福祉大学三田病院 放射線診断センター准教授)

人々の抗加齢・美容医学への関心度は高く、様々なアンチエイジングアプローチがなされている。これまでアンチエイジングの分野における画像診断学の貢献性は乏しいのが現状であった。しかし、コンピュータの革新的進歩の恩恵ともいえる多列CT装置や高磁場MRI装置などが医療の現場に導入され、画像解析装置であるワークステーションが一般的に用いられるようになると、抗加齢・美容医学領域においても様々な画像解析が行われるようになった。CTは多くの画像情報を含み、体内の既存構造部を詳細に観察できる。MRIは高い組織分解能を有する利点がある。画像診断・解析装置を活用することで、顔面の皮下構造の詳細な解剖学的情報が得られ、加齢性変化の内部状態を非侵襲的に観察することが可能になった。
加齢は回避できない現象であり、年とともに顔面には皺やたるみなどの加齢徴候が現れ、容貌は徐々に変化する。顔面加齢を分析するには加齢性変化の特徴の理解と顔面構造物の解剖学的知識が求められる。顔面加齢は皮膚の老化だけでなく、表情筋、表在性筋膜(Superficial musculoaponeurotic system: SMAS)、脂肪織、靭帯(retaining ligament)などの様々な皮下構造物の変化が関与する。さらに、重力が加齢性変化を助長する。
本講演では、顔面皮下構造の解剖学的所見およびそれらの加齢性変化を概説するとともに、加齢容貌と内部構造の関係について画像診断学的に解説する。本解析法は加齢による容貌変化のメカニズムの解明と顔面の抗加齢・美容医学に貢献すると考える。

『美容皮膚科に必要な顔面の臨床解剖』
一瀬晃洋(いちのせ形成外科皮膚科 眼瞼・フェイスクリニック院長)

美容皮膚科医は、皮膚を切開する頻度は少ないかもしれないが、顔面の臨床解剖の知識の必要性は外科医に引けをとらない。皮膚弛緩や皺などは皮膚のみへのアプローチで解消できるものではなく、皮膚の下に存在する皮下組織、筋、靱帯、骨、血管、神経などの正常解剖ならびに加齢による解剖学的変化を知らないと治療を組み立てることは不可能である。これらの構造物の解剖学的な知識は治療の効果を増大させるのみならず、合併症を回避する羅針盤となり得るものである。本日は顔面の臨床解剖のうち、美容皮膚科において重要性が高い部位についての概説を行う。

今、買いのプラズマ治療

『窒素ガスプラズマを用いた美容医療 肝斑、毛穴、傷跡・瘢痕治療などの考察』
黄聖琥(KOクリニックfor antiaging院長)

当院における窒素プラズマ機器、NeoGen Spa®、NeoGen PSR®を用いた臨床経験について述べていく。前者は2015年6月より、後者は2018年6月より使用開始している。プラズマの皮膚への熱変性効果として、表皮に対しては色むら、くすみの改善が認められ、真皮に対してはコラーゲンの新生、日光弾性繊維症の改善が認められる。表皮の再生が早期にすすむのが特徴である。プラズマ医療分野における生体組織への効能・効果として、殺菌効果、抗炎症効果、創傷治癒効果、ドラッグデリバリー促進効果などが報告されている。当機器を用いた臨床効果においても、ニキビ治療、毛穴治療、瘢痕治療において成果が出ており、単なる熱変性作用だけではなく、上記のようなプラズマ特有の生体組織への作用によるところが関与していると予想される。当院の症例においても、難治性肝斑、成熟瘢痕、鼻の毛穴に対して臨床成果を上げており、実際の臨床結果を交え他機種治療との違い、プラズマ特有の効果について論じていく。

『最初に選ぶのであればLegatoⅡ、最後に選ぶのもLegatoⅡ
~多くの治療がこれ1台で叶うから~』

奥村千香(おくむらクリニック副院長)

LegatoⅡ(Alma社)はラジオ波を用いて皮膚表面にプラズマを発生させるiTEDと音波並びに空気圧にて薬剤等を導入するIMPACTという2つの機器により構成される。当初は高出力のiTEDで皮膚に穿孔を生じさせ、IMPACTにて薬剤を導入する方法が紹介されていた。この方法は痛みが強く、ダウンタイムもあり希望する患者は多くはない。そこでiTEDを低出力に設定し、IMPACTにて薬剤を導入することでエレクトロケモセラピー(低出力のプラズマを用いる方法で通常はそのあとに薬剤を注射するといわれている)様の結果を得ることができる。低出力では疼痛はほとんどない。使用する薬剤はボツリヌストキシンなど、医療者のアイディア次第で無限である。単にプラズマをあて薬剤を皮膚に塗布するのではなく、音波並びに空気圧導入治療を加えることで効果を確実なものにしている。
またこのiTEDは様々な形態のチップを使用することで接触面積を変えることができる。小面積で当てると皮膚に穿孔生じることができるが痂疲、出血はわずかである。当院では、この小面積のチップで尋常性疣贅、脂漏性角化症、稗流腫、汗管腫、黄色腫、伝染性軟属腫、真皮内色素性母斑の治療を行っている。
このようにLegatoⅡは①高出力、小面積②高出力、大面積③低出力、小面積④低出力、大面積という風にカテゴリーを分けることができ、その各々で皮膚治療の多くを網羅することができる。最初の1台として選ぶのであればこのLegatoⅡを勧める。すでに炭酸ガスレーザーなどの機器をもっているとすれば、LegatoⅡの治療成績が今までの治療機器に比較しても優れていることがわかるであろう。当院では患者満足度が最も高い機器と言える。以上の理由から今買うなら『これ!』といえる機器だと確信する。

『当院がプラズマ治療器Plasma BTを採用した理由と使用感
〜プラズマシャワーとしての使用と症例の紹介〜』

丸山直樹(銀座マイアミ美容外科院長)

当院は、美容外科手術を主としたクリニックとして2017年5月に開院した。開院以来、美容外科手術ばかりをしているうちにリピーターのかたが増えてきた。当院には、当時痛いメニューしかなく、リピートしてくださる患者さんたちに、毎回痛い思いをしてもらうのが心苦しかった。
そのため、2018年、年初“気持ちの良い施術”を導入するという目標を立てた。そして、リピーターの患者さんに、気持ち良くて効果のある施術を受けてもらうべく、治療機器を探している過程で出会ったのがPlasma BTである。

演者自身が施術を受け、主に下記の理由により本機を導入することを決めた。
1.暖かくて気持ち良い
2.オゾンが発生し治療されている実感がある
3.経皮ドラッグデリバリーシステムとしての有用性
4.治療の汎用性の高さ
5.本体がコンパクトで場所を取らない
6.本体の操作が簡単
7.本体価格
8.ランニングコスト

Plasma BTはPlasma SurgicalTMとしての使用とPlasma ShowerTMとしての使用が可能であるが、当院は後者のみのバージョンを導入した。
 
導入後の治療対象は以下の通りである。
1.皮膚のアンチエイジング(シワ、ハリ、くすみ対策)希望
2.水光注射の代替治療の希望
3.ニキビ治療の希望

実際に使用してみると、Plasma BTは使い勝手が良く、患者満足度も高い。
本発表では、当院におけるPlasma BTの使用方法を、実際の症例をふまえて解説する。

ランチョンセミナー

『第4世代のサーマクール  さらに効率よく快適な治療へ』
加王文祥(天神下皮フ科形成外科院長)

21世紀に入り機器を用いたFacial rejuvenationは美容医療の大きな部分を占めるようになり、機器の進歩と共にその重要性はさらに増加しています。
機器を用いたたるみ治療は主として真皮層をターゲットとして熱エネルギーを加え、真皮層の熱による収縮、線維芽細胞の増成によるコラーゲンの増加などによりたるみを改善してきました。これらの機器では熱エネルギーの媒体として主に光、電磁波、超音波などを用いますが、技術の進歩と共に任意の部位に必要な量の熱エネルギーを投入できるようになってきました。同時に対象以外の組織、特に表皮を保護する能力の向上により、効果を発揮するのに十分な量の熱エネルギーが投入でき、しかも対象部位以外ではほとんど組織に影響を及ぼさない治療も可能となってきました。
サーマクールは2002年に「切らないたるみ治療器」としてアメリカで登場したRF(高周波)を用いた機器です。モノポーラ方式を採用することで真皮深部までRFエネルギーを送り届け、真皮層と皮下組織の線維性隔壁に熱変性を起こさせることで3次元の引き締めを可能にしました。同時にRFエネルギー照射中とその前後に、チップの内側からの冷却ガス吹き付けによる冷却が行われ、皮膚表面の熱損傷を防ぎます。
サーマクールは2002年以来徐々に改良が加えられ、現在多くの施設では第3世代のサーマクールCPTが治療に用いられていますが、今年に入り第4世代にあたるサーマクールFLXが登場しました。ここではこの新しいサーマクールFLXの特徴である、4cm2チップによる治療時間の25%短縮、照射する度にチューニングを行い部位毎のインピーダンスを正確に把握することによる適正なエネルギー投与の実現、バイブレーション機能の改良による痛みの緩和などを中心に御報告致します。

承認品による美容治療

『冷却痩身 クールスカルプティングの医療的活用法
~クールスカルプティングは単に脂肪を減らすのではなく美しい体型を得るための機器である~』

青木律(グリーンウッドスキンクリニック立川院長)

 クールスカルプティングは元々米国Zeltic社が開発した脂肪を冷却して部分的な脂肪の減少を可能にする機器である。筆者は2009年に同器の提供を受け日本人における臨床効果について臨床研究を行い、2編の論文として報告した。論文の結論は、クールスカルプティングは日本人でも十分な部分痩身を認め、かつ一部分の治療より複数部位の治療を行った方がより良い効果が得られるというものであった。
 米国における臨床及び基礎データをもとに、本邦での上記の臨床報告が参考にされ、2018年に本器は厚生労働省の薬事承認を得ることができた。また前後して米国においてZeltic社がAragan社に買収されたことより、本年4月より日本においてはアラガンジャパン社の取り扱いとなった。
 従来このような脂肪減少を起こす機器は痩身すなわち余分な脂肪を除去し体重を減少させるための機器であると理解されてきた。しかし本機器が目指すものは体重の減少ではなく、ボディーラインの再構築である。すなわち躯幹にあってくびれるべきところのくびれを作ることによってより美しい体型を作るための機器であると理解すべきであろう。
 このような概念に基づいて本機器の使用法を再検討した結果、従来のような1か所、2か所といった小範囲の治療ではなく、より広範囲の治療を行うことが患者満足度を高める良い方法であることが分かってきた。
 本機器の利点は安全で効果的で患者の苦痛が少ないことであろう。また手術のような特別の技術も不要である。更に昨今広告規制が厳しくなり、国内未承認器のHPでの掲示が出来なくなったが、本機器は承認器であるためHP掲載が可能であるという点が大きい。
 欠点としては取り扱いが容易であることから他施設との差別化が困難であること、治療に際して1サイクルが35分かかり、複数サイクルの治療を行う場合には治療スペースを占拠してしまうことである。
 これらの欠点に関しては、技術的な差異をつけにくいとは言ってもやはり、装着の方法による結果の良し悪しはあるので、スタッフを十分にトレーニングすること、本機器を2台設置することによって治療時間を半減することで克服が可能である。
 本講演ではクールスカルプティングの基礎的知識と経営的側面について述べる。

『フラクショナルモード搭載スキャナー付き炭酸ガスレーザー「コア」の可能性』
三谷有史(あおい皮フ科クリニック院長)

2004年にMansteinらがフラクショナルレーザー治療の報告したのち、ノンアブレーティブからアブレーティブなものまで様々なタイプのフラクショナルレーザーが登場した。作用機序は主に波長に依存するが、ビーム径や照射密度など使用目的に応じてパラメーターも多岐に及ぶ。美容レーザー普及のきっかけとなったレーザーとも言える。フラクショナルレーザーの最大の特徴は照射範囲の皮膚のほとんどを正常な状態に温存しつつ、ある一定の深度で部分的な熱凝固あるいは蒸散によって、皮膚のリモデリング効果を促すことであり、特に炎症後の色素沈着(PIH)を起こしやすい東洋人に向いている。しかし、フラクショナル照射であっても照射密度、エネルギーによっては紅斑またPIHが生じ、ある程度のダウンタイムは避けられない。このあたりが皮膚科臨床医としては少々取り扱いづらいところでもあるが腕の見せ所ともいえる。ざ瘡瘢痕や毛孔開大には、他に良い治療の選択肢が少なく、演者はフラクショナル炭酸ガスレーザーによる治療を積極的に行っている。コアはフラクショナルモード以外に色素細胞母斑や疣贅の蒸散に適したサージカルモードへの切り替えも容易で、皮膚の小腫瘍に対する均一かつ正確なアブレージョンが可能である。また照射モードはハイパワーのスーパーパルスであるため蒸散時に焦げが生じない。コアは2017年12月にフラクショナルモードによる軟組織の蒸散目的が初めて承認された炭酸ガスレーザーで、安全性の観点からも有用性に優れている。今回は、コア治療したざ瘡瘢痕の臨床経験を中心に、実際の効果ならびにロングパルスダイレーザーとのコンビネーション治療についても触れてみたい。

『承認品による腋臭症・多汗症治療 / ミラドライ(miraDry®)』
藤本卓也(こまちくりにっく院長)

多汗症・腋臭症の治療としては、
手術療法:効果は高いが手術瘢痕が残る
ボトックス治療:永続的な効果はなく、耐性を生じるリスクがある
が主流であったが、2010年より日本でもミラドライが導入され、プロトコルの改良により、手術瘢痕を残すことなく高い治療効果を得られるようになってきた。
現在では、約120台のミラドライが国内で稼働しており、一般的な治療として認知されてきた。
そして、治療効果と安全性が認められ、重症腋窩多汗症の治療器として2018年6月に承認を得ることができた。
また、本年6月に施行された改正医療法や薬機法により医療広告規制が強化され、未承認器のホームページ・ネット広告での掲載に慎重な取り扱いが求めれる昨今、治療効果の高い承認器であるミラドライの集客における優位性はゆるぎないものとなってきた。

本日はそのミラドライについて詳しく解説する
『機序』ミラドライはマイクロ波を照射することにより極性をもつ水分子を振動・回転させて温度を上げるという、マイクロ波加熱を利用している。
実際にミラドライでマイクロ波を照射すると、エクリン汗腺・アポクリン汗腺が存在する真皮深層・皮下組織上層の境界部で反射し、温度の高いヒートゾーンが形成される。照射の間、ハイドロセラミックによるコンタクトクーリングを行っているので、表皮・真皮浅層は保護される。
『施術方法』17種類のテンプレートから症例のサイズに応じたテンプレートをアルコール転写する。ツーメセント麻酔を用い除痛と筋膜や神経の保護を図ったのち照射する。ミラドライ照射後はアイスパックでクーリングを行う。
『臨床効果』ガーゼテスト(腋臭の評価)、桜井-モンタニア法発汗テスト(多汗の評価)、そして腋臭と多汗について数値評価スケールを用いて、ミラドライの効果を検討した。まだフォローアップ期間は3-6か月と短く中間報告ではあるが腋臭と多汗に対し著効を示している。

今、買いのピコレーザー

『532nm/1064nm,750picosecond pulseレーザーによるskin rejuvenation』
中野俊二(中野医院院長)

Skin rejuvenation(皮膚の若返り)治療には従来からナノ秒発振のQ-Nd:YAGレーザー、ミリ秒発振のロングパルスレーザー、Intense Pulsed Light、高周波(RF)治療といった医療機器を用いる方法やトレチノイン外用、ケミカルピーリング治療などが用いられてきた。しかしながら、光・レーザー治療ではskin typeによる適否があること、RF治療では皮下脂肪の過度の減少問題、外用剤では過敏反応などが想定されるなど適応の決定にはかなりの経験と知識が必要であった。ピコ秒発振レーザー(enLIGHTen,cutera,USA)、波長1064nmはすべてのskin typeに利用できる。750psecにて全顔を1500~1800shots、10Hz、8mm径にて1か月間隔で反復照射すると回数依存性に色調改善と肌質の改善が観察できる。また、532nm、750psecにて行う良性色素性疾患治療後に1064nm、750psecを同様の条件にて反復照射するとrejuvenation効果ばかりでなく、一旦、炎症後色素沈着症が生じた場合でも早期に改善する。われわれの組織学的検討においても、日光老化した前腕皮膚に2週毎、6回治療後にてコラーゲン線維とエラスチン線維の増生が認められ真皮のremodelling(再構築)が確認された。
さらに、照射孔にMicrolens Array (MLA)を装着したfractional治療を1か月間隔で顔面、頸部に2~3回行ったところ、満足度の高い若返り効果や頚部の鳥肌状皮膚の改善が観察された。
しかしながら、効果が少ない、あるいは、早期効果を期待すると言った理由で頻回な治療や過剰な出力を使用するとメラノサイトの損傷を誘発する可能性があり、ナノ秒パルス幅レーザーと同様にピコ秒パルス幅レーザーにおいても色素脱失や色素増強を生来する可能性があることは常に念頭に置いておかねばならない。

『PicoWayで広がる新しいメラニン疾患治療とスキンリジュビネーション』
宮田成章(みやた形成外科・皮ふクリニック院長)

最新のピコ秒発振レーザーは、シミなどをはじめとした美容的治療を大きく変える可能性を秘めている。現在主流であるQスイッチレーザーよりもパルス幅が20-100倍短く、光熱作用でもたらされる「熱」による破壊ではなく、非熱的な光音響効果によって従来とは全く異なった、より安全かつ効果的な治療が出来る。当院で使用しているシネロン・キャンデラ社製のピコセカンドレーザーPicoWayは、波長1,064、532 nmの波長と、チタンサファイアを用いた非常にユニークな785 nm波長を加えた3波長発振かつ現行機種において最も短いパルス幅300-450psであり、各種のメラニン色素性疾患に対して従来にない様々な治療が可能である。さらにフラクショナルResolveハンドピースにより、非常に高いピークパワーの照射をおこなうことで、各種リジュビネーション治療も可能である。今回、これらを組み合わせ、局所から顔全体に至るまで様々な適応をもって実施される照射法を供覧し、最も光音響効果の比率が大きいPicowayならではの新世代の治療の詳細を述べる。そして、なぜQスイッチではなくピコ秒レーザーが優れているのか、そのなかでも最短パルス幅Picowayの何が革新的なのか、その意味を理解頂き、本当に「今買いの美容医療」であるのかどうかを解説したい。

『skin rejuvenation machineとしてのPicoSure』
奥謙太郎(あざみ野ヒルズスキンクリニック院長)

ピコセカンドレーザーの使用目的・方法は施設毎に大きく異なり、その施設の特徴に合わせながら立ち位置を変えられるのがこの機器の大きな魅力である。
当院においてPicoSureは、シミの除去をはじめとして、トーンアップ、キメの改善、肌質の改善、ニキビ跡の改善、炎症性ニキビの改善など、多カテゴリーの治療を行うskin rejuvenation machineとしての立ち位置を確立している。この汎用性にはPicoSureの3つの特性:①治療安全域の広い波長(755nm)を持つこと、②ワンタッチでパルス幅(550-750ps)が変更可能であること、③フラクショナル照射を可能とするFOCUS lens arrayを使用できること、が関係している。これら特性をうまく使い、照射方法・パラメータを変更するだけで治療適応範囲を広げることができるのは臨床上での大きな利点となる。
 今回はピコシュアの持つ特性がどのような臨床結果をもたらし得るか、当院の症例を供覧しながら紹介する。

今、買いの新素材・注入剤

『アガロースを原材料としたフィラー、アルジェネス(Algeness®)の治療経験』
清水祐紀(プレシャスクリニック自由が丘院長)

『はじめに』  
アガロースは自然に存在し、寒天培地や食品原料としても使われている。このアガロースをゲル化した、非架橋の100%ムコ多糖類の吸収性フィラー(Algeness®)を使用する機会を得たので報告する。  
『方法』
ヒアルロン酸フィラーと同様の部位の法令線、隆鼻、頬、下眼瞼等に使用した。注入する部位によって、1.5%、2.5%、3.5%の濃度の製剤を使い分けて注入するが、2%リドカイン0.2mlを混ぜて使用した。
『結果』
症例を供覧しながら報告する。今のところ重篤な合併症の経験はない。
『考察』
アガロースは天然のムコ多糖類でタンパク質を含まず、微生物に対する毒性もなく、人体に安全であり生体適合性がある。紅藻(テングサ科の海藻)からアガロースを純化・生成し、これに滅菌生理食塩液を加えると浸水コロイド状態になり安定する。これを1.4cc入りのフィラーとして製剤化している。本フィラーはBDDE等の化学物質を含有していないため、繰り返し注入によるBDDEの蓄積の懸念がない。また、架橋剤によって硬さや吸収度を調整しているのではなく、純粋に濃度によって調整されている。本アガロースフィラーの臨床的な持続期間は濃度により3ヶ月から15ヶ月とされているが、マクロファージにより貪食、吸収される。また、本フィラーはヒアルロニダーゼで分解できるだけでなく、ビタミンC溶液でゲル構造を数秒で分解し分散させる事が可能である。最も高濃度な3.5%製剤は注入圧が決して高いわけではないが鼻、顎等に適しシャープな形態を保持し続け、また、頬やこめかみ等のボリュームにも使用できる。2.5%製剤は適度にやわらかく法令線等の軟組織に使い、適度な柔らかさで早期に周辺組織となじみ違和感が出ない。また、低濃度のものは口唇だけでなく、チンダル現象がないため、下眼瞼などにも使えるので、とても有用なフィラーと考えている。使用経験よりヒアルロン酸よりも扱いやすく、安全なフィラーと思われたので“今買いの新素材”として紹介する。

『Title of the talk: Facial Rejuvenation beyond volume replenishment — the advancement of biostimulators』
Lim Ting Song(CLIQUE CLINIC Medical Director)

Abstract: Facial bone decay and skin laxity are part of ageing. Hyaluronic acid has been a popular modality to rejuvenate the face by combating volume changes, giving extra volume to the face. However, over dependence on volume replenishment without addressing the skin laxity issues will lead to overfilled syndrome of the face. Biostimulator is the new kid on the block, addressing both volume loss and skin laxity at the same time. Ellanse consists of Polycaprolactone (PCL) suspended in carrier gel giving immediate volume changes as well as long term collagen replenishment. Also biostimulation by PCL causes skin tightening that helps the face to maintain its natural contour and youthfulness and should be an important treatment modality for facial rejuvenation in the years to come. Safety profile of Ellanse is proven, and should be done in small volumes for its maximum results and safe practices.

『ポリヌクレオチド製剤・リジュラン注射の使用経験』
濱野英明(テティス横濱美容皮膚科院長)

ポリヌクレオチドが主成分であるリジュラン注射は、主に皮膚真皮層の線維芽細胞への働きかけることにより、ヒアルロン酸、コラーゲンなどの細胞外基質を増加させ、皮膚の弾力、ハリを回復させる製剤であるポリヌクレオチドはDNA、RNAの構成単位として知られており、糖、塩基、リン酸からなる化合物である。これらの効果の他、血管新生を促す作用もあり、海外では糖尿病性壊疽などの治療でも使用されている成分である。今回は、ポリヌクレオチド製剤『リジュラン注射』の皮膚真皮層への作用機序を説明するとともに、当院の使用経験を報告する。

『今、買いの育毛注入術』
荒尾直樹(あらおクリニック院長)

近年毛髪再生のメカニズムが徐々に解明され、かつらや植毛に代わる脱毛症の治療として成長因子を用いた治療が脚光を浴びている。
演者は育毛効果を持つ製品を組み合わせ、痛みなく皮内に導入するメソッドを開発し良好な結果を得たため報告する。
Dermaheal Stem C'rumはナノカプセル化された脂肪由来幹細胞抽出物由来成長因子を主成分とし、皮膚機能の再生と改善効果を持つ製剤である。Dermaheal
Stem C'rumは、脂肪由来幹細胞の分化を誘導し皮膚ケラチノサイトを増殖させる、コラーゲン増加と皮膚組織再生、頭皮の血液循環の改善など多彩な作用を併せ持つ。
GANA SCALPはサーモンの精液より抽出されたPDRN(ポリヌクレオチド)と銅ペプチドを主成分とする製剤である。PDRNは血管新生作用による血流改善効果、血管内皮増殖因子およびA2プリン受容体を刺激し、炎症を減弱させる効果などが知られている。銅ペプチドは毛髪の成長を促し毛質を太く強くするとの研究結果があり、その効果は5%ミノキシジルと同等であるとされる。銅ペプチドは年齢とともに血中レベルが低下することが知られている。ビオチンは皮膚炎を防ぐ物質として発見され、現在ではコラーゲンを生成し皮膚を健康に保つ作用のあるビタミンの一種として知られている。
これらの導入手段としてのオスモインジェクターは、特殊加工をされた40Gのマルチニードル機器であり、その針の細さにより患者に痛みを感じさせることなく治療が可能な製品である。
3ヶ月間に6回の治療を1クールとした治療の結果を供覧する。